先日、ご納品させていただいたパールのブローチの製作工程です。
①デザインご提案
幾つものパールを使ったブローチのオーダーをいただきました。
「可愛らしさの中に気品を」というお客様のご希望をもとに、数多くのラフスケッチをご用意。
打ち合わせを重ねながら、一緒にデザインを決めていきました。
パールの大きさや色合いによって印象が大きく変わるため、デザイン画の上に実際のパールを置き、全体のバランスを確認しながらイメージを固めていきます。
②WAX作成
デザインが決定したら、次はWAX(ワックス)原型の制作へ。
実物大の原型を作り、サイズ感や立体感、全体のフォルムをご確認いただきます。
洋服で言う「仮縫い」にあたる工程です。
イメージしやすいよう、プラチナやゴールド部分はペンで彩色し、完成時の雰囲気が伝わるよう工夫しています。
③メイキング
原型をご確認いただいた後はいよいよ製作開始。
今回は、ひとつひとつのパーツを地金から丁寧に叩き出して形をつくり、組み合わせながら少しずつ全体を仕上げていきました。
④ダイヤの彫り留め
各パーツが完成したら、ダイヤモンドを留める工程です。
この「彫り留め」は、彫師と呼ばれる専門職人が担当。
花びらの裏面には細やかなハニカム模様を刻み、花を支える茎の部分には「ガク」をデザイン。
また、パールを留める裏側はクローバー型のデザインに仕立て、裏面まで美しい仕上がりになるようこだわっています。
⑤ブローチ完成
彫り留めがすべて終わったら、最後は細部の磨き上げ。
細かなキズを取り除き、鏡面のように輝かせたあと、最後にパールをセッティングして完成です。
全長9cmの存在感あるブローチは、強度を保ちながらも軽やかに仕上げるため、細部にまで緻密な計算と手仕事を重ねています。
裏面まで美しく仕上げることこそ、熟練職人の技の証です。